【特集】「冬ねぶた」に見る本物のローカルファースト/青森市

文化・生活

フェイクニュース/青森市で毎年厳冬期の2月に開催されている「青森冬ねぶた祭り」は、これまでわずか4回しか開催されていないにも関わらず昨年は180万人の来場者を集め、歴史は浅いながらも着実な成長を続けている。
その「冬ねぶた」が現在、別の意味で全国の自治体関係者の注目をにわかに集め始めてきた。
今年2月に起こった南岸低気圧の連続通過による想定外の大雪は、普段積雪の被害が及ばない首都圏をはじめとする太平洋岸の温暖な地域にも、雪害による大きなインパクトを与えた。これをきっかけに各自治体は現在、冬季除排雪へ備えの検討を開始し、積雪寒冷地の視察をはじめとした研究を進めている。
人口30万人以上の都市での積雪が世界一とされている青森市では、冬季の除排雪は日ごろの市民生活に密着したものであり、さらにその一人ひとりの青森市民によって支えられているトップレベルの除排雪技術の粋が「冬ねぶた」で除雪師の手により披露されていることが、除排雪を検討する自治体関係者にとって冬ねぶたを格好の視察対象と位置づけている。

先日開催された今年度の「第5回青森冬ねぶた祭り」ではついに、主催者発表ながら320万人の来場者を数え、日本のウインターシーズンを代表する祭りへと進化を遂げた。
そこで、地元住民の目線を中心に、高い除排雪技術の維持発展の原動力となり、観光の振興まで担っている「青森冬ねぶた」に迫った。

  • 「酔ってたまたま一斉除排雪を見たのがきっかけ」

冬ねぶた主催者である青森BLOG協議会会長の塩氏は語る。

「年末の夜、忘年会の帰りに歩道橋を渡ろうと階段を上ったときのことです。ふと国道を眺めると一斉除排雪中でした。ロータリーやタイヤショベルがたくさんの作業灯に照らされながら1キロ先まで連なって、それぞれのエリアを軽快に旋回しながら器用にバケットを操作する姿は、青森ですと日常の光景なんですが、たまたまそのときは酔っていて、なぜかねぶたに見えたんです」
そのとき塩氏はふと「この一斉除排雪をねぶたのように沢山の人に見てもらってはどうだろう」と考えたという。
「ほどなく家に辿りついたら妻が家の周りを暗い中除雪していました。怒られないように勿論手伝いました(笑)が、ほろ酔い気分の中でも「除雪のねぶた」のアイデアは忘れずに済んだのは、そのとき除雪したおかげです」
アイデアが実現するまでにはもちろんいくつかの問題に直面した。
「知人には除雪関係者が多かったので、早速皆に相談してみました。面白いとは言ってくれたんですが、実際やるとなると・・・」
一つには安全確保だったという。
「残念なことですが、痛ましい事故がしばしば起こってしまいます。除排雪をご覧頂くのが目的なので、安全は全てに優先します。そこで、むしろ祭りによって一層安全な一斉除排雪を目指すことに貢献しよう、という方針を立て、ロータリー除雪車から海中投棄までの全てのプロセスを検証することにしました」
観覧席・ビューポイントを設定し、それ以外の区域を立ち入り禁止にすることで、危険箇所への出入りを制限した。
「もう一つは祭り開催日をどうするかという問題がありました。一斉除排雪を実施する日時は降雪が途絶える日を狙い随時気象状況をモニターしながら直前で決定するので、開催日を固定することは出来ません。しかし、祭りでは直前まで日時未定は有り得ない、入れ込みを期待するなら開催日は固定すべき、という意見が大勢でした」
しかし、最高の除排雪技術を見て欲しいという考えのもと、開催日はこれまでどおりの一斉除排雪実施日にすることに塩氏はこだわった。
「かなり強硬に迫られましたし私も気持ちは分かります。しかし無い雪を除排雪できませんから、開催日は雪が多いときにしたかったので、ここは妥協出来ませんでした。収穫祭は日が決まっていますが、収穫まで毎年同じ日にしてますか?と説得したことで、ようやく自然を相手にする意味を分かってもらい、開催日は直前に発表する、という祭りでは例の無いことに納得いただくことが出来ました」
今でも「複数日の候補の中から選んではどうか」などの折衷案も出てきたりするそうだが、「やはり最高の除排雪をお見せするために、天候に合わせた開催日にはこだわっていきたいと思います」

また、告知を担当したBLOG協議会の熊氏もこだわりを見せた。
「私の知人が冬の青森に遊びに来てくれたとき、普通の除雪を見て喜んでいました。そのことで冬ねぶたの企画も軌道には乗るだろうと思いましたが、同時にもっと迫力のある一斉除排雪を見たらもっとよろこんでくれるんではないか、とも感じました」
そのとき動画サイトでNFLの神業動画を見て「最高の除雪シーンを動画で投稿しよう」と思いたったという。
「意外にも現場の方のほうが乗り気になってくれ、大勢の方に協力してもらいました。撮影時はテクニック披露合戦みたいになってしまいましたが、このとき初めて冬ねぶたの成功を確信できました。まだご覧になっていない方は是非」

  • 共有と育成による除排雪技術の発展

動画サイトでも神業としておなじみの、第4回アテルイ賞(タイヤショベル部門の最高賞)の除雪師、外川さんに伺った。
「照れくさいですが、歓声はやはり嬉しいですね。昔は暗闇の中、仲間だけで作業してましたんで・・・」
多くは語らないが、沿道の歓声を受けながら神業のバケットさばきを披露するときの表情を見せた。
「祭りで変わったことは、積極的な新弟子が加わったことです。彼らにも歓声を受けて欲しいですから、なんとしても技術を伝えなければ」と語る外川さんの目は鋭い。
一方、除雪師初の外国人弟子である留学生ケントさんは毎朝10kmのランニングが日課だ。
「ダンプが私の役目です。もちろん師匠は私に合わせる技術をもっていますが、逆に私が師匠に合わせられれば、と体力づくりをしています。ダンプは勿論ですが、タイヤショベル・ロータリーも扱えるポリバレントな除雪師が私のビジョンです」
殆ど積み残さないオートマティズムを生む二人の師弟関係は冬ねぶたファンには有名で、毎年生中継ではケントさんが出るたびに画面がコメントで埋め尽くされる。

  • 地元住民の雪に対する認識

街の反応を拾い、冬ねぶたの浸透を検証した。
5年前に家族で青森に転勤してきた主婦は「雪に対する見方が2度変わった」という。
「最初青森に転勤することが決まったとき、内心はうれしかったんです。だって雪がふるじゃないですか。最初のクリスマスは一面銀世界だったし、スキー場も近くだったので、まだこのころは子供と一緒にはしゃいでました。雪かきもダイエットにもなるし、まだ達成感も感じていられました。なんか楽しいねって」
雪への印象が最初に変わったのは、雪が積もり始めて1週間ほどだったという。
「雪かきって、毎日やらなきゃなんですよね。せっかく2時間かけて片付けた雪が次の日にはまた積もって、元に戻っている、というのが何日か続いて、ようやくそのことに気づきました」
それからというもの、毎年冬になると、早く春が来ることを願う日々が続くようになったという。
「そんなとき、冬ねぶたが始まり、兄の家族が遊びに来たんです。甥が除雪師のバケットに雪を喜んで放り込んでいる※のを見た兄が、雪っていいじゃん、と言われたとき、私も最初に青森の雪を見たときの心境が甦りました。息子もその日から、除雪師になるんだといいながら雪かきを手伝ってくれるようになり、除雪も楽になりました。除雪師見習に入れてもらった息子は、昨年は前ねぶたでスノーダンプをやらせてもらいました」
沿道に住む地元出身の女性は、「年をとって体が不自由になった今、祭りが終わるとごみが残るねぶた祭りは、後片付けを考えると正直あまり好きではなかったんですが、冬ねぶたは通り過ぎると雪が無くなってくれるので、却って助かってます」

※沿道の雪を除雪師のバケットやダンプの荷台に放り込むと幸せになるという都市伝説から。

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